THE IMAGINARY NATURAL HISTORY第一巻 ― 森と水辺の採集録VOL. I

本当にいそうな、架空の生き物たち

空想生物図鑑

A Natural History
of the Unseen

雨上がりの殻に、ひとすじの虹。
夜の海には、まだ名前のない光。
どこかに本当にいそうな生きものの、
姿と暮らしを綴じた、小さな博物誌。

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空想生物図鑑 編輯室
五つの観察記録

FRONTISPIECE図版 〇〇一
雨上がりの苔の上を進む虹殻カタツムリ。半透明の渦巻き状の殻が桃色、青、金色に輝く姿
I.虹殻カタツムリRainbow-shell snail

霧の森、雨の翌朝。
光の向きを変えると、殻の奥に淡い虹が現れる。

殻径 三―五糎霧の森 · 雨上がり
空想生物図鑑森と水辺の採集録

編輯室より

頁をめくり、森の奥へ。

葉陰をのぞく。水の流れを待つ。小さな足跡をたどる。
殻の色、翅の輪郭、雪に残る歩み。その先に、それぞれの暮らしが続いています。

この図鑑について

CATALOGUE OF SPECIMENS

収録図版

五つの姿、五つの暮らし。
気になる一匹から、頁をめくる。

PL. 001霧の森
雨上がりの苔の上を進む虹殻カタツムリ。半透明の渦巻き状の殻が桃色、青、金色に輝く姿
Rainbow-shell snail

虹殻カタツムリ

殻の虹色は、どこから来る?

見る位置を変えると、青い殻が淡い金色に。虹をつくるのは、殻の薄い層と周囲の光。雨上がりと乾いた日では、同じ殻の表情が変わる。

光と湿り気で変わる殻を見る
小さな生きもの殻の直径 3〜5 cm
PL. 003夜の沿岸
暗い沿岸の海中を漂う星灯クラゲ。透明な半球形の傘、縁の淡い青緑の発光点、下に伸びる口腕と細い触手を描いた図版
Star-lantern jellyfish

星灯クラゲ

泳いでいるのに、潮に運ばれる。

傘をすぼめて向きを変えても、強い流れには逆らえない。青緑に光る傘の縁と、遅れてたなびく触手。二つの動きから、水の流れが見えてくる。

傘と触手の動きをたどる
海の生きもの傘の直径 8〜15 cm
PL. 004白い雪原
雪の積もる針葉樹林の小川沿いに座る雪花ギツネ。密な乳白色の冬毛に覆われ、大きな尾を足元へ寄せた姿
Snow-flower fox

雪花ギツネ

朝の霜と冬毛は、違う速さで変わる。

毛先の霜は暖まると消える。でも、密な白い冬毛は残る。雪のない季節の姿と並べると、毛色だけでなく、頬や尾の輪郭まで違って見える。

冬毛と夏毛を図版で見比べる
獣の仲間体長 45〜65 cm(尾を除く)
PL. 005霧の森
夜のシダの葉に止まる硝子羽の蛾。白い体と羽毛状の触角を持ち、四枚の透明な翅に細い翅脈が走る姿
Glass-wing moth

硝子羽の蛾

透明な翅は、いつ見つかってしまう?

葉の緑が透ける四枚の翅。月が隠れると輪郭は薄れるが、白い胸は残る。露の粒が付いた朝には、隠れていた膜の面も浮かび上がる。

月明かりと露の違いを見る
虫の仲間翅を開いた幅 8〜12 cm
PL. 006古い書庫
古い布張りの本に乗る書庫ヤモリ。象牙色の体に文字のような茶色い斑点があり、大きな茶色の目と巻いた尾を持つ姿
Archive gecko

書庫ヤモリ

本にまぎれる、小さな虫の狩人。

紙のような象牙色の体に、かすれた文字に似た斑点。食べるのは本ではなく、隙間から入る虫だ。夕方になると、広がる指先で棚を渡りはじめる。

書庫での一日の暮らしを読む
小さな生きもの全長 6〜9 cm

名前から。色から。
まだ見ぬ一匹を探す。

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NOTES ON HABITATS

生息地をたどる

場所を知ると、
姿の理由が見えてくる。

TWO KINDS OF LIGHT / 光を見比べる

同じ「光る」でも、
しくみが違う。

雨上がりの森の虹と、夜の海の青い点。
暗くなったらどう見えるかで、二匹の違いが分かります。

光を出さずに、輪郭だけが浮かぶ翅も。硝子羽の蛾を見比べる ↗